釣り車としての積載性と悪路走破性、日常の快適性を両立させる理想の釣り車兼ファミリーカーを探すこのシリーズ。
回を重ねるにつれ、悪路に強いSUVか、日常の使い勝手優先でミニバンか、2択を迫られてきました。
それはそうです。全てを理想通りに叶える車なんてないのです。
何かを優先したら、他の何かはある程度で妥協しなければいけないのは分かっています。
しかしその「ある程度」の妥協点が難しいのです。
高額な買い物だけに、失敗したくない・・・。
待てよ?
もしかしたら、有るのかもしれない。
どちらの条件も妥協無く叶える、理想のスペックを備えた車が・・・。
やっぱり、あの車を見ずに、釣り好き兼業主夫の車選びは終われない。
そう、唯一無二のミニバン型本格オフローダー、デリカを見ずには決められない!
ということで、行ってきましたよ、三菱に。
結論。ミニバンの車内空間とSUVの悪路走破性、どちらも妥協できないならばデリカしかない。ゴツさとディーゼルが好きなら買い!
例によって長いので結論から言います。
買わないと思います。
まず長所。
・ミニバン型の車内空間と積載性、ファミリーカーとしての装備は申し分なし。
・悪路走破性に関しては、そこらのSUVを寄せ付けないハイレベル。
このシリーズで見てきた中で、1,2を争うレベルかもしれません。
次に短所。
・サイズ感的には、やっぱりちょっとデカイ。
・見た目も、ちょっとゴツい。
短所はあくまで個人的な好みなので、人によっては長所にもなるでしょう。
ゴツイ≒タフ。
その辺が好きなら買いですね。
ヒョロ長族のビーノには、やはりちょっとゴツすぎました。
家の周りの道路狭いし。
あと、パワートレーンがディーゼルのみでハイブリッドの設定は無く、約2tの車体なので、燃費はあんまり良くないです。
デリカD5はこんな車
デリカは三菱伝統の3列シートミニバンで、ノアボクシー・セレナ・ステップワゴンより若干大きく車格は上のクラスになります。
振り返ると、ノア・ボクシーがタウンエース・ライトエースから、セレナがバネットから派生したように、デリカもトラック・バンから乗用ワゴンとして派生した歴史を持ちます。
そしてデリカは、1986年発売の2代目デリカスターワゴン以降、ワンボックス型本格的4WDとして唯一無二のポジションを確立。
後継のデリカスペースギア、現在のデリカD:5も同様に、ミニバンでありながら本格オフローダーであり、ほぼほぼ「ミニバン型のパジェロ」として、決してベストセラーにはならないけれど、一部のアウトドア愛好家にツヨクツヨク支持され続けているオンリーワンな車なのです。
ただし、ワンボックス型(またはキャブオーバー型)の車体にミニバンの室内空間とオフローダーとしての最低地上高を両立したため、車高が高くなる結果に。
特に先代のデリカスペースギアは見た目にも腰高で重心が高く、実際にひっくり返りやすいかどうかは知りませんが、何となく見ていて落ち着かない車でした。
現在のD:5はワイドボディになり、重心が高い感じは無くなりましたが、一般のミニバンと比べるとやはり高い印象はあります。
積載性能
荷室。
荷室の奥行は十分。ただし3列目シートは厚みがあり、横幅が狭い。
3列目シートを跳ね上げ、2列目のシートを前に出したときの奥行は163cm。
ノアと大差ありませんが、フロボの積載は十分可能です。
荷室の幅は上部が狭い
荷室の幅は床面のタイヤハウス間で90cmありますが、その上には跳ね上げた3列目シートがあります。デリカの3列目シートは厚みがあるため、左右のシート間の幅は77cmしかありません。
なので上部の空間はハッキリ言って横幅、狭いです。
シート下の空間にフロボが収まれば問題ないのですが、残念ながらそうはいかなそうです。
参考までに、現在の愛車4代目ステップワゴンにフロボと艤装一式を積んだ写真がこれ。
ちなみに同じ方式のセレナはボディサイズがコンパクトなため、シート間の幅が70cmしかありません。ということでセレナは無いかなあというぐらい、ここは重要です。
ノアは3列目シートが薄いのと収納方式が窓部分にオフセットされるため、95cm確保しています。
ステップワゴンは床下収納なので98cmあります。
シートの厚みは居住性の上では当然有利です。
三菱の店長さんは、アルファード並みの座り心地だと言っていましたが、確かにノアやステップワゴンの3列目とは比べ物にならないでしょう。
ですが、それが生かされるのは3列目まで座る場合。
通常は2列でOKで3列目は緊急時用と割り切るなら、シートの厚みより荷室のスペースを優先すべき。
ただし、デリカのこの3列目シート、外せるんだそうです。
わざわざ工具無しで外せるノブボルトのようなオプションもあるそうで。
デリカらしいですね。そういうの嫌いじゃないです。
ですが、外したシートはどこに置くんだ問題が・・・。
荷室の高さは60cm。
路面から荷室の床面までの高さは60cm。ノア・セレナ・ステップワゴンが51~55cmなのに比べると少々高いですが、SUVは70cmぐらいあるので中間ぐらいですね。
もちろん縁に段差はありません。
悪路走破性は文句なし。そこらのSUVじゃ敵わない。
文句なしの本格4WD。足回りも本格的。
デリカの駆動方式は、全車4WDです。2輪駆動の設定はありません。
つまりもう四駆設定のあるミニバンじゃないんですよ。ミニバン型のクロカン四駆なんですよ。
しかも、走行中でも簡単に切替え可能な3モード4WD。
4WDロックモードがあるので、ぬかるみや深雪でのスタックからの脱出時の限界値が高まります。
下回りのクリアランス
悪路走破性のもう一つのポイントとして、下回りのクリアランスがあります。
最低地上高185mm。数値は平凡だが実際の能力はもっと高い。っぽい。
最低地上高は185mm。
ノアE-Fourの125mmはもちろん、標準的なミニバンの150mm前後からみても大きく上回っていますが、SUVとしては平凡な数値です。エクストレイルと同等で、フォレスターの220mmには遠く及びません。
ただ、実際はもっと高いと思うんですよ。
情報が古いかもしれないんですが、デリカの開発担当者の方が何かのインタビューに答えている記事を読んだことがあります。確かモデルチェンジかマイナーチェンジの時だったはず。
それによると、「デリカの最低地上高は185mmと従来モデルより25mm低くなった。しかし、従来エンジンマウントの下にあったカバーが樹脂製だったので、規定でその部分を含めずに測定していた。それを金属製のカバーに変更したため、そこが最低地上高の測定対象になった。ただしカバーの高さ自体は変わっていないため、従来通れていた道が通れなくなるということはないので安心して下さい」というような主旨でした。
なので、最低地上高210mmだった時と同等の走破性がある、と考えてよいのかと。
側面地上高
ビーノの独自基準である側面地上高は 22cm。
これはホイールベースの中間あたりの、外側から見える「へり」の地上高を実測した値です。
下回りの部品のでっぱりは含みません。
最低地上高が必ずしも下回りのこすりやすさと一致していないような気がすることから測ってみていますが客観的な根拠はありません。
グランドクリアランスにカタログ1ページを割いて主張。
他のミニバンカタログには、当然記載されていない。
最近のSUVのカタログにも、あんまり載っていません。
これまでアップした中で唯一カタログに載っていたのがフォレスターでした。
それが何と、デリカのカタログでは丸々1ページを割いてグランドクリアランスについて説明しています。
ちなみにフォレスターと比較すると
デリカ | フォレスター | |
アプローチアングル | 21° | 21.4° |
ランブレークオーバーアングル | 16.5° | 21.1° |
デパーチャーアングル | 23° | 25.8° |
最低地上高 | 185mm | 220mm |
と、フォレスターが上回っていますが、デリカもミニバン型のボディでよく頑張っていると思います。
ここで重要なのはフォレスターと優劣をつけることではなく、他のミニバンはおろか最近のオシャレなSUVではカタログに掲載すらしていない、つまり重視していない悪路走破性に関するデータを大々的にアピールしている姿勢が評価できるということ。
逆にいうと、こういうデータを重視するようなユーザーに支持される車だっていうことですね。
サイズ関係まとめ
各ミニバン間でサイズを比較します。
こう見ると最低地上高以外はステップワゴンに近いサイズですね。
というより、セレナと同じ5ナンバーサイズだったステップワゴンが、
大きくなってデリカに近づいたのでしょう。
車種 | デリカ | セレナ | ノア | ステップ ワゴン |
駆動方式 | 4WD | FF | FF/E-Four | FF/4WD |
全長 | 4800 | 4690 | 4695 | 4800 |
全幅 | 1795 | 1695 | 1730 | 1750 |
全高 | 1575 | 1895 | 1895/1925 | 1840/1855 |
最小回転半径(m) | 5.6 | 5.7 | 5.5 | 5.4 |
ホイールベース | 2850 | 2870 | 2850 | 2890 |
最低地上高 | 185 | 135 | 140/125 | 145/150 |
側面地上高 | 220 | 215 | 190/220 | 190/? |
荷室関係のサイズまとめです。
ステップワゴンの広さが目立ちますね。これでe-HEVの四駆があればなぁ。
荷室 | デリカ | セレナ | ノア | ステップ ワゴン |
荷室長(後席倒した時) | 1630 | 1680 | 1600 | 1750 |
荷室幅(タイヤハウス間) | 770 | 700 | 950 | 980 |
荷室高さ | 600 | 550 | 510 | 530 |
開口高さ | 1130 | 1120 | 1100 | 1195 |
日常の使い勝手
視界
アイポイントが高いという意味では視界は良いです。
が、最新モデルのノアやステップワゴンのような、徹底的に死角を減らすような工夫はみられません。
むしろ、グランドクリアランスを稼ぐために床面を上げたため、ヒップポイントは高いのに全高はそんなに高くない。ステップワゴンよりは高いけれど、ノアやセレナよりは低いのです。
なので、実質的な室内空間の天地方向は、ノアやセレナより狭いです。
SUVよりは高さがあるけれど、普通のミニバンよりは若干天井が低い気がします。
なので、運転席からの視界も、天地方向が広くない。
悪くはないけれど車体の割には意外と広くないです。ミニバンとしては、です。
そして、運転しているときの感覚なんですが、やっぱり、なんかゴツイんですよ。
ボディサイズとしてはノアやセレナより少し大きいものの、新型のステップワゴンと大差ないレベルなんですが。やっぱり運転していて、「ちょっとデカイな」と感じてしまう。
家の前や周りの道路が狭い人には、ちょっとストレスになりそうな。
まさに、ビーノの家の周りがそうなのです。
走りと燃費
走り
パワートレーンは2200㏄のディーゼル+4WDのみ。
ハイブリッドの設定はありません。
ディーゼルなので瞬発力は無い代わりにトルクがあって、どの回転域からでもじわじわ-っと加速ができる、フラットなパワー特性です。
これは、素人のビーノが乗ってもすぐわかるくらい、明らかな特徴でした。
とすると、このディーゼルエンジンにこそ、瞬発力が持ち味のモーターを組み合わせてハイブリッドにしたら相性いいんじゃないかなぁと思いますけど、どうなんでしょうね。
あと、足回りなんですが。
タフでゴツいイメージなので乗り心地もゴツゴツしているのを想像していたのですが。
意外と柔らかい。というか、ふわふわしていました。
アルファード並みに・・・と言っていましたが、相当居住性には気を使ったんでしょう。
柔らかな乗り心地で、ファミリーカーとしても優秀ですよ、と言いたかったんだと思いますが、
特に段差を乗り越えるときの、この「ふわん」とした感じ、ビーノはあんまり好きじゃありません。
静寂を乱して踏み出す瞬間の、ふわりと浮かぶ感じは好き♪なんですけどね。
乗り心地でいうとフォレスターの方が特に後席乗車時にゴツゴツしていた感じがありましたが、あれは試乗車のグレードがXーBREAKでオールシーズンタイヤだった影響もあると思います。
普通の夏タイヤで比べたらどうなのか、別グレードも乗ってみたい気がしますが。
あと、ミッションがめずらしい8速AT。CVTじゃないんですね。
CVTは変速ショックの解消や燃費の改善に効果がありますが、実は負荷をかけた走行を続けると壊れやすいという話を聞きます。
日常の使用では問題になることはないと思いますが、釣り車で問題になるとしたら、バスボートの牽引。そういう点でもデリカはタフにできていて、ギリギリ2t未満の車重といい、トルクのあるディーゼルエンジンといい、牽引のヘッド車にも適しているんじゃないかと思います。
まぁ、ビーノは将来的にもバスボートを持つ予定も持てる余裕もないので、どちらでも良いです。
最初の愛車がスバルのヴィヴィオで初期のECVTだったんで、CVTの方がなじみがあるんですけどね。
燃費
燃費は、あんまりよくないです。
他の車種と比較してみます。
デリカ | フォレスター | ノアE-Four | |
WLTCモード | 12.6km/h | 14.0 | 22.0 |
市街地 | 10.1 | 11.2 | 22.0 |
郊外 | 12.6 | 14.2 | 23.9 |
高速 | 14.1 | 16.0 | 20.9 |
カタログ数値としては、フォレスターのe-BOXERよりちょっと落ちるくらい。
実際の燃費はもう少し悪く、街乗りだと8km/Lぐらいだそうです。
逆に高速だとカタログ値よりも出ることもあるとか。
ただし、燃料が軽油なので、実際のコストはガソリン車よりも安くなります。
ちなみに、フォレスターはマイルドハイブリッドが効いているのか、意外と実燃費との乖離は少ないという話を聞きます(個人の感想なので条件によって違うとは思います)。
これを見ると、やっぱりノアは優秀だなあと思っちゃいます。
「真冬は燃費が大幅に落ちる」と言っている人の燃費、それでも14km/L台出てましたからね。
しかも北海道で。
税金
2200ccのディーゼルエンジンなので、自動車税が年間¥43,500。11年超から¥51,700になります。
ガソリン車は13年超過すると環境課税で15%の加算がありますが、ディーゼルは11年超過から割増なんですね。初めて知りました。この2年の差はけっこうバカにならない気がします。
重量税はギリギリ2t以内に収めているので、2年分で¥32,800、11年目からは¥45,600です。
合計すると、基本が¥43,500+¥32,800÷2=年間¥59,900。
11年超になると、¥51,700+¥45,600÷2=年間¥74,500。
環境割とかややこしいのは省略。😅
けっこう取られますね。
価格は高い。
さて、価格ですが。
中間グレードのGで本体価格、税込¥4,103,000。
見積もり総額は¥4,722,346。
ちなみにナビ・ドラレコ・ETCは持ち込みの想定で抜きになっています。
高い。
もちろんここから値引きや下取りがあるでしょうが、ナビ・ドラレコ・ETCを追加することも考えると、470万は、ちょっと手が出ません。
しかもこれ、ハイブリッドじゃなくて普通のディーゼルエンジンのみですからね。
中古で狙う場合は、探せばほぼ四駆であろうと思われるので、普通のミニバンで四駆の車を探すよりはタマ数がありそうではあります。
ただ、最近は中古車もあんまり安くないんですよね~。
5年落ち5万㎞の車でも、300万とか平気でするんですよね。
たとえば新車を400万円で買って10年乗って下取り価格がほぼほぼゼロだったとして、年間40万円。
大事に乗って13年なら年間30.8万円、15年頑張れば年間26.7万円。
5年落ち300万円の車を5年間乗ると年間60万円、8年間なら37.5万円、10年間乗ってようやく30万円。
あれ?中古車の方が年間コスト高いじゃん。たぶん中古車は新車の半額ぐらいまで下がらないと、「初期投資は少ないけど、結局割高」ってことになっちゃいそうですよ。
さらに新車の方が税金や維持費の面で何かと有利だったりしますし。
同じ金額負担するのに、車の寿命の前半5年を取るか、後半5年を取るかだだと、
満足度は大きく違ってきそうですよね。
まとめ。
デリカはミニバン型オフローダーとして、1ジャンル1車種の独自の地位を築いており、
他の車種と比較するなんて野暮なのかもしれません。
それが好きなら、素直に買えばいい。そういう漢の車です。
(女性が買ってももちろん問題ありません。女性が買ったらなおさら男前だと思います)
しかし、ビーノような小心者の兼業主夫は、こんな高額な買い物、あらゆる可能性を比較して最適解を導き出さないと、怖くて買えないのですよ。
そうこうしているうちに年度末の決算セールが終わってしまう。
は・・・
判断が遅い!!
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